はりが痛い
はりが痛い
はりは、痛い。この治療を勧めるとどうしてもこのことを聞かれたり、かなり痛い思いをしている人がいるのも、また、事実です。
注射などであれば、1本か、2本ですみますが、我々のはりは、そうは行きません。
場合によっては、全身に、数十本を刺さなくてはなりません。
それが、どれも「チクリ・チクリ」と痛くてはとても耐えられない人もおられることでしょう。
学生の頃、どうやったら痛くなく刺せるのか、一生懸命練習したものでした。
先日も、患者さんと話をしている中で、この話が出て
「先生は、研修会でお互いにはりをしあっているから、いたいのか、そうでないのかが、わかるのではありませんか」
と、言われました。
確かに、そういうことはあるでしょう。
私の所属する 東洋はり医学会 は、研修会といえば、お互いが患者になったり、治療家になったりしながら、研修会を進めています。
はりを、刺させて貰うだけでなく、患者役にもなって、お互いの練習をする訳です。
先日の研修会でも、指導していると、なんだか、患者役の会員が、体を、もじもじさせている
「どうした...」
と、聞くと
「はりが痛い」
と言います。
鍼灸師の会員でさえ痛みに耐えている訳です。治療室に来る患者さんが
「痛い」
などと、言ってくれるはずがないですね。
また、はりをする際、
鍼管(しんかん)
を、使う人がほとんどかと思います。
これは、江戸時代の杉山和一という人が、はりを上手く刺せるようにと考え出した方法ですが、痛くなく刺す為の道具を使っても痛くてはどうにもなりません。
また、この鍼管を使ってはりをする際は、
トン・トン・トン
と、たたいて、はりを刺入しています。
この
トン・トン・トン
が、嫌いなんですと、言う人もいます。
私は、鍼管は、使わずに直接、はりをしていますので、そういったことは有りません。
ということで、はりが痛いのは、本当は、鍼灸師の問題だったという話でした。
この痛くなくはりをするという課題は、一生、この仕事に従事している限り、考えていなくてはならないことと思っています。
練習を兼ねて、毎日、自分にはりをしています。
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